今回は、BtoB企業が、高い動画力を持った2分でまとまる動画を作るためのノウハウを具体的に解説していきます。
セミナーは60分、動画は2分
新商品やサービスのセミナーは、毎日どこかで行われています。特に、日々、進化、成長していくIT企業にとってセミナー開催は重要なマーケティング活動の1つです。
YouTubeやUstreamなどを活用したライブ配信や、撮影した映像を編集して後日、公開するオンデマンド配信を行う企業も増えてきました。
ライブ配信動画と、オンデマンド配信動画について、少し触れてみます。
視聴者の推移をみるとライブ配信動画は、時間の経過と共に増加していき、
ある視聴数で安定します。
もちろん、内容やプロモーションのやり方により、その動きは変わっていきます。
ライブ配信の場合は「イベント感」「ライブ感」「今だけ」といった希少な雰囲気をどれだけ視聴者にアピールできるかが、重要です。
一方、オンデマンド配信動画は、時間が長いと視聴してもらえません。
いかに編集で、わかりやすく見せるかがポイントになります。
例えば60分のセミナーであればテーマ別にわけて、視聴者が選択できるようにします。
また、ダイジェスト版として、2分ほどに再編集した動画を集客に使って、興味いただければ、本編に誘導するようなこともできます。
さて、BtoB企業にとって、重要なポイントである効果は、どれほどあるのでしょうか?
東京で300名規模のセミナーを実施する場合、それなりの準備と予算が必要となります。
参加者1名あたり1万円を予算の目安にしている大手外資系企業もあります。
例えば、1万名の顧客リストで3%を集客すると300名です。
申し込みのない9700名の中には、地方の重要なお客さんもいるでしょう。
その日、その時間に別件があって、参加したくても参加できないお客さんもいるでしょう。
また、申し込みをしたければ、急きょ、参加できなくなったお客さんもいるでしょう。
その会社や商品に興味があるけれど、場所的、時間的な制約で参加できないお客さんへの
情報発信としてはとても、有効な手段です。
MA(マーケティングオートメーション)ツールと連動させれば、登録されている顧客毎に、セミナー参加の傾向をつかめます。さらに、どの内容に興味があるかを、視聴履歴で分析できます。
リアルとネットを併設することで、実際に参加できなかったお客さんのフォローや営業活動に繋げることができます。
実際のセミナーで1セッションの時間は短いもので30分、基調講演など長いもので60分ほどです。
セミナー終了間際に誰もが一度や二度、聞いたことのあるセリフがあります。
「長時間にわたって、お聞きいただき、ありがとうございました。お疲れの中、恐縮ですが、最後に本日、お持ち帰りいただきたい内容を、整理いたしました・・・」
そこで、3つから5つくらいのポイントを、要約してセッションの締めとなります。
2分でまとめる動画のテクニックは、そこにあります。
セミナーの場合、その内容に興味ある人が参加しますので事前の「案内」通りの内容と時間であれば最後まで受講いただけます。
2分動画の目的は、潜在顧客に対して訴求し、次の行動に誘導することです。
何が特徴的なのかを、最初に伝えないと、お客さんは反応しません。先ほどのセミナーの例でいうと、最初に「本日、お持ち帰りいただきたい内容」を伝え、その後、細部に入っていくという流れが大切になります。
2分でまとまる動画ノウハウ
BtoB企業が、高い動画力を持った2分でまとまる動画を作るノウハウを紹介します。
その前に、今回の前提となる動画制作を構成する3つの要素についてご説明します。
動画は、時間とコストをかければ、どんな表現でも可能です。
「コストx納期x表現」のバランスがとても重要となります。
コストが決まっていれば、あとは、納期と表現のバランスをどうするかをクリエーターが考えます。
納期と表現が決まっていれば、コスト交渉をお客様とどうするかを営業が考えます。
コストと表現が決まっていれば、納期をどれだけ伸ばしてもらえるか、これも営業が交渉します。
今回は、コストがリーズナブルで短納期という条件の中、BtoB企業にとって最適な動画制作のプロセスと、表現方法を解説します。
起承転結で2分動画を構成する
2分といえば、文字数にして600文字前後。朝日新聞の一面にある「天声人語」とだいたい同じボリュームです。
ご存知の通り、天声人語には、読み手を引き付ける力があり、起承転結がしっかりとした構成になっています。
まずは、対象になる商品、サービスを起承転結にあてはめてみます。
起承転結の中でも、いろいろな割合、バランスはありますが、ここでは、当社でよく使う手法について、ご説明します。
- 起:一言でいうと何の商品、何が売りのサービスなのか
- 承:市場全体の動きの中で、新商品の開発に至った経緯
- 転:強み、特徴 他社商品と比較して、優位性、ユニークなポイント
- 結:今後の展開とお客様への約束
600文字前後のシナリオ作りのポイントは、 「顧客視点」です。
お客さんにとって、何が、便利で、得なのか、他の競合製品、類似製品と何が、違うのか、その特徴は何かを「顧客視点」で内容を絞り込んで、整理していきます。
「提供者視点」だと、あれもこれもと、詳細な機能説明に走ってしまいます。詳細な説明をするのは、お客さんが2分動画を見て、興味をもってからです。
起承転結に沿って600文字のシナリオができたら、それに関連する写真、説明資料(パワーポイント)、パンフレット(PDF)、ホームページで利用の素材など、著作権に抵触しない活用可能なコンテンツを集めます。
人物は最高の訴求素材
動画は、時間とコストをかければ、どんな表現でも可能です。
タレントを使ったり、精巧なCGを作ったり、景色の素晴らしい場所でロケしたりもできます。
今回は先に述べましたとおり、コストがリーズナブルで短納期という条件の中、BtoB企業にとって最適な動画制作のプロセスと、表現方法を解説します。
さて、対象の商品、サービスに対して最も強い思いを持っている方は誰でしょうか。
社長なのか、製品責任者なのか、開発責任者なのか。
視聴者は、その製品、サービスが持っている内面(開発コンセプト、思いなど)に触れることができます。
動画は圧倒的な情報量があります。中でも、紙の資料では絶対に伝わらない人の「熱量」を伝えることができます。製品、サービスに対する並々ならない思いや情熱、言葉に重みと迫力があります。
最終的な目的は、その良さをいかに動画を通して伝え、視聴者の心を掴むかです。
人の「熱量」に勝る効果、編集技術はありません。
シナリオと、素材と、プレゼンテーターが決まったら、スタジオ撮影です。
どんなにプレゼンテーションが上手な方も、スタジオ撮影は、緊張します。
だから、600文字のシナリオは、プロンプターに投影し、安心して、それを見ながら、プレゼンテーションいただきます。何度かやれば、自然な感じになっていきます。
グリーンバック(クロマキー撮影)で、人物映像と事前に集めた素材資料と連動させる表現も訴求力が高まります。
プレゼンテーターによっては、カメラ目線でなく、誰かに語りかけるような表現も、効果的な場合もあります。
いずれにしても、プレゼンテーション映像の流れにそって、素材資料がマッチしている構成にすると視聴者にとって、理解しやすい動画になります。
人は人に反応し、訴求されます。
広告はその特性を利用して、多くのポスターに人を登場させています。
また、テレビCMの90%以上は人が登場しています。
人は素材として、とても身近でありながら、動画力を高くしてくれます。
最後まで、ご覧いただきありがとうございました。
次回コラムも、どうぞ、ご期待ください。
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