昨今のビジネス動画活用の潮流は、IT企業からスタートしたと言っても過言ではありません。そして、それがより加速するきっかけとなったのが「モノの販売からコトの提供への転換」です。2012年頃を境に多くのIT企業は自社のソフトウェアパッケージを販売する形態から、インターネット上でサービスとして提供する形態へと変化します。その際に役立ったのが動画コンテンツによるコンセプト紹介等です。
「インターネット経由でサービスを利用するコト」にピンと来ていない人々に対し、役者やアニメーションを使ったコンセプト動画を届けるコトでクラウドサービスの何たるかを伝え、今では世界中のビジネスにおいてクラウドが重要な位置づけにあります。
本記事でご紹介するのは、そんなIT企業における動画コンテンツの活用シーンと動画制作を実施するメリットです。
IT業界は動画コンテンツとの親和性が高い
多くのIT企業ホームページを閲覧していると気付くことがあります。「ここ数年で動画コンテンツの掲載率が急激に高まっている」ということ。特に日本国内で「働き方改革」の叫び声が大きくなってからは、ことさらIT企業の動画コンテンツ活用が活発化しているでしょう。最近では、クラウドサービスを紹介するテレビCMが確実に増えていることからもその重要性がおわかりいただけるでしょう。
実は、IT業界は動画コンテンツとの親和性が非常に高く、それも重なってIT企業の動画コンテンツ活用が活発化しているものと考えられます。
その理由として、第一にIT製品の多くは小売店などの店頭に並ぶことがありません。以前は家電量販店でソフトウェアパッケージ専用のコーナーが設けられ、そこではビジネス用途から一般家庭向けのものまで多種多様な製品が販売されていました。しかし、クラウドサービスが主流になりソフトウェアを所有するのではなく利用するのが当たり前になってから、そうしたコーナーは縮小されています。
もちろん、そもそもクラウドサービス自体店頭に並べられるものではないため、IT企業の多くは自社ホームページ等を中心に製品を宣伝していく他ないわけです。そこで有効活用されているのが動画コンテンツです。
例えば単純に製品の特徴を表現した動画コンテンツをホームページ上に掲載すれば、それだけで24時間休むことのないカタログとして機能しますし、トップページを開くと自動的に再生されるように設定すれば自然とユーザーの目に飛び込みます。これをきっかけとして製品へ興味を持ってもらい、その他のコンテンツにも触れやすいようホームページ上の動線を設計すれば、それだけで立派な営業ツールに仕上がります。
IT業界での動画コンテンツ活用は幅が広い
実際に、当社ヒューマンセントリックス(HCX)の設立当初は、ビジネスの70%ほどが外資系IT企業でした。少数精鋭で全国に対してメッセージを発信し続けなければいけない外資系IT企業の営業担当者にとって、セミナーは最重要イベントの一つです。しかしそのセミナーも、膨大な労力をはたいて準備を終えてもいざ実施すればたった1日で終了してしまいます。
「果たしてここまで労力を投じてまで実施する効果はあったのか?」常に自問自答したことでしょう。実施後の虚無感も精神的負担は大きかったでしょう。あるいは、「参加できなかった方や遠方のお客様に何とか情報を発信できないものか?」と試行錯誤したに違いありません。そうした問題や悩みから着想したのが「SVP(Super Visual Presentation)」と呼ばれる、ヒューマンセントリックス独自の動画制作サービスです。
つまり、これまで営業担当者が行ってきたプレゼンテーションの内容を動画コンテンツとしてまとめ、それをマーケティングや商談の場で活用することで製品のコンセプトや概要を明瞭に伝えるとともに、限られた時間でより深い商談をするためのツールとして用います。このSVPは現在でも多くのIT企業に好評をいただいており、動画コンテンツ活用の一手としています。
IT業界での動画コンテンツ活用はそれだけに止まりません。最近では、働き方改革をテーマとしてストーリー仕立ての動画コンテンツを活用するケースも増えています。
現在では多くの企業が働き方改革に対して積極的であり、様々な取り組みを見せています。その中でITの存在は絶対であり、クラウドサービスを利用した取り組みも増えています。しかしながら、ユーザー側にITを活用することでどんな働き方改革が実現可能かのイメージが持たれていません。そこで重要になるのが製品そのものを説明するためのコンセプト動画などではなく、実際のビジネスシーンに製品を落とし込み、働き方改革がどのように実現され、どのような効果を生み出すかを説明するためのストーリーです。
こうした動画コンテンツを制作する場合はプロの役者を立て、その所作や表情などで働き方改革に対する効果を伝えると言った動画コンテンツが高い効果を発揮することが多いです。ユーザーにとって共感できる部分を多く作ることで、イメージの中で実際のビジネスシーンに製品を落とし込ませるのです。
この他にはシンプルなオフィス紹介動画をホームページ上に掲載することもあります。普段の仕事風景や社員の顔が見えることにより安心感を持ってもらい、問い合わせしやすい環境を整えるのに貢献します。また、採用やIR活動、マニュアルなどIT業界における動画活用は多岐に渡っています。
IT業界で動画コンテンツを活用するメリット
「動画コンテンツを活用するメリットは何ですか?」と聞かれると、一言では言い表せないのが難しい問題です。動画コンテンツのメリットは様々なところに波及するため、想定外の効果をもたらすことも多いのです。
その中でも一般的なメリットを挙げるとするならば、まずは「高い宣伝効果」があることでしょう。今では動画配信プラットフォームが充実しており、YouTubeやSNS上で気軽に配信するだけでも幅広いユーザーにリーチできます。ましては「世の中のためになっている」「面白い取り組みをしている」とメディアに取り上げられれば、全国的に知名度を上げるきっかけにもなります。
「1度制作したコンテンツは長期的に利活用できる」というのも嬉しいメリットの1つです。前述のように外資系IT企業ではセミナーを中心としてマーケティングを展開することが多いわけですが、都度その内容を撮影して動画コンテンツとして管理することで、来場できなかったお客様にセミナー内容を配信できるためたった1度のイベントで終わらせない効果があります。また、蓄積した動画コンテンツはオンデマンドセミナーコンテンツとして展開することでホームページの会員増加にもつながり、その結果引き合いが多くなります。
これらのメリットはあくまで動画コンテンツの一側面に過ぎません。実際には非常に多くのメリットをもたらし、時には制作会社すら想定しなかった絶大な効果を生み出すこともあります。IT企業であり、しかしまだ動画コンテンツ活用に取り組んだことがないという場合は、ぜひこの機会にご検討ください。
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