企業や商品・サービス、団体のブランドを認知拡大するマーケティング手法として、「ブランドムービー」がすっかり定着しています。一般的に企業が制作するものと考えられていますが、最近では地方自治体が地域ブランディングの一環としてブランドムービーを制作するケースも増えています。
では、ブランドムービーには具体的にどういった効果があるのか?本稿では、ブランドムービーの意味や目的、その効果についてご紹介します。
ブランドムービーとは?
ブランドムービーは企業ブランドや商品・サービスブランド、団体ブランドや地域ブランドなどそれぞれの「ブランド」を幅広く伝えるための動画です。そもそもブランドとは何でしょうか?
マーケティング専門家として著名なフィリップ・コトラー教授は、ブランドを「ブランドとは、個別の売り手または売り手集団の財やサービスを識別させ、競合する売り手の製品やサービスと区別するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはこれらの組み合わせ」だと定義しています。
企業がこぞってブランド形成に力を入れる理由は、選択のよりどころや使用及び経験の満足度を高める機能を果たし、他の商品やサービスを探す手間や失敗のリスクを回避し、購買の効率を上がるためです。要するに、ブランドの力が大きいほど人から求められて売上・利益が大きくなる、ということです。
ブランドが持つ力
ブランドが持つ力というのは偉大であり、ブランドの確立とビジネスの成功はイコールで繋がっているほどです。あとえば「明治ミルクチョコレート」のテレビCMにて「チョコレートは明治♪」というフレーズが流れますが、このテレビCMによって「チョコレートといえば明治」という認識を持っている消費者が相当数いらっしゃるでしょう。これがブランド力です。
ブランドの力が強いほど競合との差別化が可能であり、消費者や顧客の選択の余地を狭め、競合を避けることができます。
従来のマーケティングとの違い
リスティング広告やWebコンテンツを主体として従来のマーケティングでは、費用対効果がどうか、施策として意味があるのかなどを常に考え、それらのKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を追っていくことになります。そのため、従来のマーケティングは「効率性」に主眼が置かれており、具体的には以下のような工程でマーケティングを考えていきます。
- 最終的なゴール設定
- ゴールから逆算したファネル設計
- ファネル中のボトルネック特定
- 集中的な資源投資
このプロセス及び考え方はマーケティング担当者にとって慣れ親しんだものであり、「コンバージョンに繋がってこそのマーケティング施策だ」という思想が源にあります。
一方、ブランドムービーが中心に据えるのは「ブランド認知」と「ファンを増やすこと」です。最終的にはビジネスの数値貢献に繋がりますが、コンバージョンを達成することが目的ではありません。
ブランドムービーを展開するにあたってコンバージョンを中心に据えてしまうと、従来のマーケティングとの差別化が図れず、ファンを増やすことが難しくなります。
企業がファンを作る目的
経営者の中には「ファンを増やすよりも、商品やサービスを販売して実際に使ってもらって、そこからファン(リピーター)を増やす方が効率的だし利益に貢献するのではないか?」という考えを持っている方も少なくありません。そこから従来のマーケティングを一貫して実施しているという企業も多数存在します。
確かに、マーケティングは費用対効果がすべてと考えられる部分もあるため、その考えにもとづくとブランドムービーのように即効性に低いマーケティング施策は切り捨てられることになります。ただし、ブランドムービーは長期的目線で見れば、費用対効果の高いマーケティング施策でもあります。
ブランドに対するファンの形成は一朝一夕では成せないものです。長い時間をかけ、水面の波紋のように徐々に広がっていくことで、次第に根強いファンに支えられる企業・商品・サービスが作られていきます。ファンが増えることで競合商品との検討行動が減り、ファンにとって唯一の選択肢になることで高い市場シェアを獲得できるのです。まさに先ほど説明した「明治ミルクチョコレート」のように。
ブランディングの手法として動画を選択する理由
ブランディングの手法としては、テキストを主体としたリスティング広告やコンテンツマーケティング、あるいはクリエイティブにこだわったDMなどが挙げられます。こうした従来のブランディング手法ではなく、動画を選択する理由はどこにあるのでしょうか?
1つ目の「短時間で伝えられる情報量の多さ」が理由として挙げられます。1分間の動画にはWebサイト3,600ページ分の情報量があると言われており、静止画よりも情報量が多いのも明白な事実です。動画はテキストや静止画に比べて視覚的・聴覚的に大量の情報を一気に届けられるため、短時間の動画でもブランディングに役立てられます。
そして2つ目の理由は、「動画を1つのクリエイティブとして楽しんで視聴できる」ということです。商品及びサービスの認知拡大や販売促進を目的とした動画の場合、視聴者に興味がない時に配信されると抵抗感を持ちます。一方でブランドムービーは宣伝目的ではなく、視聴者が共感しやすい内容などで構成・演出されるため、抵抗感を感じないまま1つのクリエイティブとして視聴できます。
たとえば、世界的なジュエリーブランドである「Tiffany & Co.」は、「良い夫婦の日(11月22日)」に合わせてプロポーズに踏み出せない男性が、そのパートナーにプロポーズするまでを描いたブランドムービーを配信しています。
そこに宣伝目的はなく、どの視聴者も1つのクリエイティブとして楽しんで視聴できるため最後まで動画を視聴する確率が高く、かつブランディングにも強く貢献しています。
こうした理由からブランディングの手法としてブランドムービーを制作・配信する企業が増えており、近年の動画市場における1つのトレンドにもなっています。
良いブランドムービーを制作するには?
「ブランドムービー」と聞くとインパクトが強く、創造性の高い動画をイメージする方が多いでしょう。しかし、必ずしもそうした動画がブランドムービーではありません。
まず大切なのは「目的とターゲットを決める」ということです。ブランドムービーを制作する際は、動画の目的を明確にした上で適切なターゲットを設定し、細かいコンセプトを設定していきます。この工程を丁寧に実施することで、構成や演出のしっかりした動画制作が行えます。
目的とターゲットが明確になれば、依頼する映像制作会社を適切に選定しましょう。映像制作会社によって得手不得手があり、かつ制作の工程やノウハウも違うため、適切な映像制作会社を選ぶことが良いブランドムービーを制作するポイントになります。皆さんもぜひ、ブランドムービー制作にチャレンジしてみてください。その際には弊社にお声がけいただければ嬉しいです。
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