ブランデッドムービー、あるいは、ブランデッドエンターテインメントという言葉を聞いたことがあるかもしれません。
文字どおり、ブランド構築と向上のための映像です。
エンターテインメントという言葉からも想像できる通り、その動画は見ていて楽しいのです。
見ていて楽しい動画とは?そう、映画です。
映画をビジネスと捉えるハリウッドでは、ストーリーテリングにもマーケティングやリサーチデータベースが用いられています。
試写の結果次第ではストーリーを変更することもあります。そう、映画はビジネスに活用することができるのです。
現に、ブランデッドムービーは、映画の力で見る人の共感を得る、動画コンテンツマーケティングのひとつとして構築されており、海外のファッションブランドやカーディーラーなどが取り入れているのをご覧になったことがあるかもしれません。
ビジネスで制作される動画は、即効性と費用対効果が求められることはもちろんですが、時間をかけてでも構築していかなければならないのは、ブランド価値です。
ブランドの構築により、届けたい商品やサービスのフィロソフィーを理解してくれて、他の誰でもない、この自分(会社)を選んでくれるファンが生まれ、価格競争に陥らないビジネスモデルを実現します。
ブランデッドムービーは見たくなる広告
広告を積極的に見たい、という人は悲しいかな、あまりいないかもしれません。
綺麗な映像や面白い映像は、瞬間的に話題になり、もてはやされることもありますが、話題だけで終わってしまうことが多いのも実情です。また、情報だらけの動画も、決して見たいとは思ってもらえません。
例えば、発信者側の伝えたい情報だらけ、セールス感満載の、買って買ってとプッシュするこのようなタイプ。
- 「こんな商品が発売されました!」
- 「このような新しい機能が加えられました!」
- 「他社に比べてこの点が優れています!」
このように情報を一方的に伝える動画です。
これは広告の常套手段で、これはこれでお客様が実際にセグメントにかかる状態の場合は、有効な手法かもしれません。本来、広告とはこういうものでした。
でも、お客さまは、情報を伝えるだけではファンになってはくれません。ブランド構築イコール「ファンづくり」と言えます。
まだサービスや商品が浸透する前、新規事業、情報が少ない時、他社との差別化が難しい商品の場合、価格競争で負けている時、、、。
こんな時に、ただ情報を一方的に伝えるだけでは、お客様の心に届くはずがありません。
求められていない情報の羅列は、お客様の立場からすれば、「他人ごと」にしか過ぎません。お客様が切に待っている情報以外、こちらから伝えたい情報のほとんどは、世の中の膨大な情報の海の中に埋もれてしまいます。
人は誰でも、自分に関係する事柄でないと判断した途端、それに興味を持つことはなく、すぐに情報をスルーしてしまうのです。
スキップしてしまうCMやウェブ動画、ポストからすぐにゴミ箱行きのチラシやDMなど、
あなたもそれに興味を持つことなくスルーした経験があると思います。
そこで、今までと情報発信の仕方を少しだけ変えてみましょう。
お客様の心に響くような逸話や体験談、例え話にして語れば、難しいことも、複雑なことも、見るだけで理解できるように伝えられます。
それが、ブランデッドムービーです。
誰もが自分のことで精一杯で、目まぐるしいほどの多忙な日々を過ごしています。
そんな中で、発信側からの一方的な情報は、最初から優先順位が低いのです。
しかし、その商品をどう利用し、どう生活が変わったのかというストーリーを映画で見ることができたら、、、。
見る人に主人公の気持ちがわかる=共感する→途端にその事柄は、お客様の人生の中で優先順位が上がります。
人は共感を覚え、自分に関わることであれば興味を持つことができ、「自分ごと」として投影できたとき話を聞く気になるのです。
ストーリーテリングの力を活用する
人は太古の昔から、物語には"人の心の扉を開く力"があることを知っていました。
人の心に届けるために、最適な方法はストーリー(物語)として語ることです。これをストーリーテリングといいます。
伝えたい内容を、独自の体験談、逸話、例え話にして心に届ける手法です。
その商品・サービスを購入することによって、お客様の生活がどう変化するか?どんな問題が解決し、どんなメリットが得られるのか?
企業がなぜその商品・サービスを事業としているのかという理由や社会に提供している価値は何か?これらをお客様が感情移入をし、自己投影できるようにリアリティを持ったストーリーとして描きます。
ストーリーテリングによって、企業が持つ独自の“強み”をお客様にも“自分ごと”として実感してもらえるようになります。
感情移入することによって共感が生まれるのです。
ストーリーは、想いやコンセプトをお客様に強く印象付けます。
自己投影することで、自分で考え、自分で感じるようになります。
ロジックやデータだけでは、人の心はなかなか動かないものです。それは論理的に他と比較することでしか判断できないからです。
しかし、独自の理念・エピソードから来る優位性は他と比較しようがない唯一無二の価値として捉えられ、心を動かします。
このように独自のストーリーは他と決して比較できない差別化と圧倒的な強みを作ることができます。
ストーリーテリングによって“強み”を顧客、社員、取引先などのステークホルダーに強く印象付けて、心の中に構築された“価値”は、その企業ごとにたった一つしかない大切な永久資産となるのです。
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「人を動かす」ために重要なコミュニケーションは「共感」です。
そして「共感」は自発的に生まれるもの
ストーリーとして語ることで、見る人はそのストーリーの主人公に身を置きます。
客観的に眺めるのではなく、主観としてストーリーの世界に入ることで、“他人ごと”だった事柄が“自分ごと”に変わります。
見る人はストーリーに描かれたドラマを一緒に追体験し、感情を共有し、こうして“共感”が生まれるのです。
ストーリーによって共感や信頼が生まれることで、ブランドが特別な好感や愛着を持って選ばれるようになります。
やがて信奉者へと成長していきます。
何よりストーリーが成し得る重要な役割は「なぜその企業が存在するのか?」について一方的な押し付けではなく、見る人がその存在意義を自主的に見出すという利点があります。
また、ブランドが持つ価値観や理念、主義が見えるようになることでもあります。
まとめ
ストーリーテリングによる伝え方の利点を活かし、企業が持つ“強み”を逸話として創造し、感情に訴えるように映像化したものが「ブランデッドムービー」です。
ブランデッドムービーのポイントは見る人の感情を動かすことを核として制作される点にあります。まさに映画と同じコンセプトで作られます。
ストーリーテリングによって、簡潔にまとめられた情報よりも、相手の記憶に残りやすく、得られる“理解”や“共感”が深いことから、理念の共有や浸透を図る目的に使われています。
また、固定観念を覆すためのアプローチ、ひいては企業マーケティングに活用されるケースが増えています。人は、人から提示された結論よりも、自分で導き出した結論を重んじます。
人は説明や説得ではなかなか動きません。
しかし、物語(ストーリー)を聞いて心を動かされると人は自発的にアクションを起こします。そして自発的な行動には高い満足が伴うのです。
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