季節に合わせて、動画の問い合わせも様々です。
特にこの時期に多いのが、新年度最初のイベントとなる 5月、6月に開催する展示会でのプロモーションです。
今回のコラムは、展示会やイベントで活用できる動画について、ご紹介します。
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展示会場ブース前で見られる営業の壁
BtoB企業のプロモーションで、毎年予算化されている重要な施策として展示会出展があります。
都心のホテルや、ビックサイト、東京国際フォーラム、幕張メッセなどが主会場となり、人気のイベントともなれば、通勤ラッシュのような人混みになります。
最近は、各社とも、動画の活用が増えてきました。参加のたびに、ブースを確認していますが、動画活用に積極的なIT業界では50%~60%近く、製造業でも、20%~30%のブースで、なんらかの動画を利用しています。
活用のポイントは、遠いところからも、目に入ってくるように「比較的高い位置にモニターを置いて投影する」です。
展示会には、二通りのお客さんが参加しています。
明確な目的があった上で参加されている人。
あるいは、市場調査という名目で、何となく参加されている人。
ブースの前を営業やコンパニオンがずらっと並び、お客さんの名刺を何とか、獲得しようと躍起な会社もあります。明確な目的のある参加者にとってそのブースが対象でなければ、そのままスルーするでしょう。
何となく参加している人は、ブースの前に立っている営業と目を合わせることなく足早に通り過ぎるケースが多いかと思います。
まさにブースから発せられる営業の圧力を避けるような導線です。
ブース前の立ちはだかる「営業の壁」が新しい出会いをひょっとして阻害しているかもしれません。
展示会場ブースでの動画の活用
動画の良いところは、「営業の壁」を感じない場所からでも、なんとなく目線を注ぐことができる点です。 また、数多くの看板やパネルがある中、人は「動いているもの」に反応する傾向があるため動画自体が差別化となります。
これまで、ブース前に営業をずらりと並べて対応していた会社に営業の壁をとって、代わりに会社紹介、サービス紹介などの動画を投影したモニターを5台ほど、おいていもらいました。
営業には、お客さんがブース前の動画を、15秒くらい視聴いただいた後、横から声をかけてもらうようお願いしました。
いきなり「いらっしゃいませ。いかがでしょうか」というような語りかけでなく、
「このシーンは、当社の海外の製造ラインです。」
「これが、今年度、特に力を入れているサービスです。」など、
動画のシーンと併せて、さりげない会話からお客さんとのコミュニケーションをスタートさせるというルールです。
もちろん、従来型のアプローチより、名刺獲得枚数は、減ったようでしたが、その分、今後、商談につながりそうなお客さんと実りある話ができたと上々の反応をいただけました。
ではどんな動画が有効のなのでしょうか?
遠目でも、さっと目に入って、お客さんの足を止め、そのブースに立ち寄ってくれるような動画があればいいですよねぇ。
本コラムで、何度もお伝えしている「使える動画は2分以内」は、もちろん展示会動画でも、重要なポイントです。規模、ブースの大きさ、製品・サービスの特徴、運営の戦略などによって様々な動画や使い方があります。
お客さんがそのブースの前を通る際、ふと見る時間はせいぜい10秒くらいです。
その10秒間で、製品・サービスの特徴的な映像やキーワードを次々に登場させる手法です。
短い時間で訴求できる動画は、展示会だけでなく、セミナーや説明会の最初に、参加者の注目と集中力を一気に高める際にも活用できます。イメージやインパクトのみに重きを置いた動画もありますが、BtoB企業の場合は、短い中にも、しっかりとしたストーリーが入って、「意味のある」構成にしたほうが、展示会後も、様々なシーンで活用できます。
ここでは、会社紹介と、サービス紹介の動画について、実例を交えて、紹介いたします。
ユー・エム・シー・エレクトロニクス株式会社は、2016年3月に東証一部に上場した日系最大級のEMS(電子機器受託製造サービス)企業で、毎年、製造系の大規模展示会に参加されています。短い中にも、しっかりとしたストーリーが入って、「意味のある」映像にするには、その会社が何の会社であるか、ホームページや会社案内から、「言葉」を抽出することがとても、重要となります。
こちらの会社を一言で表現すると「熱い血潮にあふれた昭和のスピリッツで、平成の最新テクノロジーを駆使し、モノづくりの新時代を切り拓く日系最大級のEMS企業である」となります。この文字にすると60文字、声にすると12秒ほどの文章がお客さんを引き付け、印象に残すのが動画力です。
本件は、工場で働く社員の、真剣で真摯な表情を全面に出した構成にしています。
映像効果を使って、古いけれども、何か新しさを感じることができるよう表現にしました。
http://www.umc.co.jp/modules/published/?tab=3
*上述動画ライブラリーの「会社CM30秒Ver」となります
NTTデータグループで、データマネージメントに強みを発揮している株式会社リアライズは部門ごとに分散ししてきた顧客データをAIによるクリーニングとマッチング処理を自動的かつ高速に行う、クラウドサービスData-Master?を2016年にリリースしました。
ある規模以上の会社にとって、共通の課題となり得る「顧客データのクリーニング」をAIで実現する画期的なサービスを250文字 1分動画で表現しました。
ポイントは、「どの企業にも内在している課題に対する共感と、画期的なサービスをわかりやすく表現する」という点です。展示会だけではなく、説明会やセミナーの最初に見ていただき、概要を理解いただくのにご活用いただいています。
http://www.realize-corp.jp/services/data_master01.html
もう1つ、ご紹介します。
こちらはインパクト重視というより、少しわかりにくいサービスを2分動画でわかりやすく伝えるというものです。説明員の代わりとしての活用や、パートナー企業が展示会に出展する時などに営業ツールとして、ご利用いただくことを前提としています。
2013年設立のベンチャー企業である株式会社インフォコーパス。
IoTサービス開発、IoTコンサルティングを中核に展開していく中、その技術ノウハウを結集させたIoTプラットフォームであるSensorCorpusを2016年リリースしました。ベンチャー企業ですので、展示会に配置できる営業も多く割けない中、効率と効果を上げる理由でカタログの内容を2分動画にしました。
https://www.sensorcorpus.com/
動画活用は展示会が終わってからが、本当の始まり
いくつかの実例を通して、展示会での動画の活用方法や、最適な表現方法について、お話ししました。
展示会の開催期間は2日~3日。最終日の夕方、蛍の光のBGMと共にいろいろな箇所で、「ドドドドドーン」という轟音と共に、ブースの解体作業が始まるのは、少し切ない気がします。
動画は、展示会後も、引き続き活躍します。
例えば、自社のホームページは、もちろん、セミナー、説明会の冒頭で、流したり、採用説明会で利用したり、営業の現場、さらにパートナー会社への販促ツールとして、徹底的に活用できます。
展示会期間中に利用した動画を上手く再活用して、顧客満足の向上と、マーケティング活動に利用している例をご紹介します。
毎年2月に実施される株式会社大塚商会の実践ソリューションフェア。一社イベントでは国内最大級であり、長い歴史を持っています。
最新の技術やサービスを製品紹介にとどまらず、わかりやく実践的に紹介してくれるITの総合展示会として、毎年、顧客視点、参加者視点にたった趣向、内容となっています。
展示会後も、ステージや展示の紹介、セミナー動画や資料をサイトで見ることができます。
https://www.otsuka-shokai.co.jp/event/jsf/special/
プロモーション気運がピークとなる開催期間が終了してから、一気に熱がさめる企業も多い中、展示会の資産をフル活用することで、参加できなかった全国の顧客に対しても、継続的に情報を提供し、アプローチできる仕組みは、とても参考になるかと思います。
最後まで、ご覧いただきありがとうございました。
次回コラムも、どうぞ、ご期待ください。
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