Googleの検索結果に動画が表示されるようになり、「動画をいかに検索結果に表示させるか」ということが注目されるようになってきました。この記事ではYouTubeのSEOノウハウをGoogle検索にあてはめて、検証をしてみたいと思います。
注力すべき5つの要素、3つの注目ポイント
動画を使った集客には大きく「広告」と「SEO」があります。これはオンラインにおける一般的な集客と同じです。この記事ではSEOに目を向けて検証したいと思います。
2019年に、「YouTubeのSEOで注力すべき5つの要素と3つの注目ポイント」という記事が、Web担当者Forumに掲載されました。これをもとに、Googleの検索画面に表示される動画も同じ重要度が反映されているのかを確認して行きたいと思います。
まずは簡単に、「注力すべき5つの要素、3つの注目ポイント」を紹介しておきましょう。
注力すべき5つの要素
- 動画の再生回数、視聴時間。
- 検索クエリと一致するキーワードを含んだタイトル。
- タイトルは短め、説明文に多くのキーワードを含める。
- キーワードタグを設定。
- 動画の長さ。
3つの注目ポイント
- 古い動画は比較的パフォーマンスが高く、新しい動画は急激に伸びる。
- コメントや評価、平均視聴時間などをもとに、チャンネルは動画のランキングに役立つ。
- 埋め込み動画とリンクは相関関係にある。ただし因果関係は不明。
この記事では、「注力すべき5つの要素」を中心に見ていきたいと思います。ただし(1)については再生回数のみです。また公開されていないタグの有無についても外したいと思います。「3つの注目ポイント」については、検証の中で目立つ点があればふれていきます。
動画SEO検証
それでは検証を始めていきたいと思います。
日曜大工 棚
最初に検索するのは、「日曜大工 棚」というキーワードです。Google検索ではショッピング広告、画像に次いで三番目に動画が表示されました。
「日曜大工 棚」の検索結果画面
パソコンの画面では、デフォルトで3つの動画が表示されます。スライドさせれば複数の動画の閲覧が可能ですが、基本的には最初に表示される動画が有利と考えていいでしょう。
ちなみにスマートフォンの検索結果では、4つの動画が表示されました。こうしたデバイスによる検索結果の違いについても気にするようにしておきましょう。
スマートフォンの検索結果画面
それでは、最初にYouTubeの検索でも同じ動画が上位に表示されるかを見ていきたいと思います。
YouTubeの検索結果画面
YouTubeの検索結果上位とGoogleの検索結果は一致しませんでした。Googleの検索結果で一番左に出てきた動画は、YouTube検索においては6番目でした。この動画を、「注力すべき5つの要素」に照らして見ていきましょう。
「日曜大工 棚」で検索していることを鑑みてこの後をご確認ください。
まずタイトルを見てみると、「【DIY Q&A】棚の作り方のセオリーって?初心者でも基本を抑えれば簡単!」となっています。「棚」というキーワードは入っていますが、「日曜大工」はありません。ただし似た意味をあらわす語として、「DIY」が入っています。
タイトルに入れるキーワードですが、完全一致がもっとも強く、部分一致はそれよりも低いとされています。このタイトルだと完全一致ではなく、部分一致と捉えられるかもしれません。タイトルの文字数は50文字未満が目安とされていますので、このタイトルはその点についてはクリアしています。
一方で説明文については、キーワードを含めて多めの文字数が良いとされていますが、この動画についてはそれほど多いとはいえず、キーワードもあまり入っていません。
この手の説明用動画の長さとしては10~16分程度が効果的とされています(BtoB動画とは違いますのでご了承ください)ので、Googleの検索結果に出てきた動画はこの点についてはクリアしているといえます。YouTubeで上位に表示された動画も、長さについては同程度となっています。
なお再生回数については、Googleの検索結果に出てきた動画の方が圧倒的に多くなっていました。これはこの動画が2017年にアップ、YouTubeの検索上位に出てきた動画のアップ日はここ1、2年という新しいものだったということが影響してそうです。これは「3つの注目ポイント」の「新しい動画は急激に伸びる」というのを表しているのかもしれません。
ウォーキング 歩き方
今度は「ウォーキング 歩き方」で検索してみます。
「ウォーキング 歩き方」の検索結果画面
このキーワードでは、動画が最初に出てきます。確かに「やり方、仕方」といった類のものだと、動画が人気なのはよくわかります。こうしたキーワードが意図するニーズに対して動画表示の有無、位置についてもGoogleは考慮しているということです。YouTubeの検索結果は、次のようになります。
YouTubeの検索結果画面
Googleで表示された動画は、やはり上位にはありませんでした。もっとも高い順位で、5番目です。
Googleの検索結果、向かって左から一番目に出てきた動画について見ていきましょう。
タイトルは「ウォーキングの正しい歩き方~How to good walk ~」となっています。キーワードが入り、文字数も50文字におさまっています。説明文もキーワードが含まれ長めに書かれていますが、ことさら多いというわけではありません。
特徴として動画の長さは1分に満たない非常に短いもので、このあたりは評価される動画の基準、10~16分とはやや外れています。アップ日はやや古めですが、このキーワード検索ではYouTubeでも古めの動画が上位にきたので、明確な違いとは言えそうもありません。
英語 勉強
「英語 勉強」で検索してみると動画が一番上に表示されました。
「英語 勉強」の検索結果画面
Youtubeでの検索結果は、次のようになります。
YouTubeの検索結果
Googleの一番目に表示された動画と、YouTubeの検索結果の1位が一致します。これまでの2つと比べて、何かしらの違いが見つかるかもしれません。
まずタイトルについては、キーワードがほぼ一致する形で入っています。説明文にもキーワードが多く入っているのが特徴です。これまでの二つでは触れていませんが、説明文の文字数として最適なのは250~300文字とのこと。この動画は文字数という点ではそれを超えています。
ただ説明文の中身で注目なのは、「この動画は誰によるものか」というプロフィールが記載されてあること。こうした情報は通常のGoogle検索が好んで上位表示にするものなので、ポイントといえるかもしれません。
またタグではありませんが、ハッシュタグが複数つけられているのにも注目です。ハッシュタグはGoogle検索に対して良い影響があるのでしょうか。動画の長さについても、最適とされる時間になっています。
動画のアップ年月からはまあまあ時間が経っていること、加えて再生回数がかなり多いというのも押さえておきたいポイントです。
このように「注力すべき5つの要素」「3つの注目ポイント」の内容について、外部からわかるものがかなり反映されているといえそうです。
なお「英語 単語」「英語 例文」というキーワードでGoogle検索をした場合も動画は表示されますが、ここで取り上げたチャンネルの動画は出てきませんでした。Webのようにサイト自体が強い≒チャンネル自体が強い、という関係は成り立たないのかもしれません。
起業
最後に、単ワードでも検索してみましょう。「起業」で検索した場合も、検索結果に動画が表示されます。
「起業」の検索結果画面
「起業」だけだとニーズが特定できないからか、動画は自然検索結果の上位から数えて4番目の位置です。
続いてYouTubeで検索します。
YouTubeの検索結果画面
Googleに表示された3つのうち、二つが上位に出ました。ただし1番目ではありません。Googleの1番目に表示された動画について見ていきましょう。
こちらについては当然ですが、「起業」といワードが完全一致で入っています。押さえておきたいのは、タイトルの文字数でしょうか。非常に短いものです。これまでに見てきた検索結果上位の動画についてもタイトルの文字数は決して多くはなく、目安の文字数をいっぱいに使うことが多い通常のSEO対策とは少し違うのかもしれません。
説明文についてはキーワードを含みやや長め、そしてプロフィールが入っています。またハッシュタグも複数入っています。動画の長さは最適とされる時間ですが、アップ日はまだ一年経っていないので、アップ日からの時間が影響あるとは言いきれません。
まとめ
YouTubeのSEOで「注力すべき5つの要素、3つの注目ポイント」をもとに、Google検索で表示される動画についてもこれらがあてはまるのかを見てきました。簡単にまとめてみましょう。
- タイトルについてはキーワードを含んでいることが必須。ただし通常のSEOのように、最適とされる文字数を目いっぱい使うといったことは不要か。
- 説明文についてもキーワードを含めることが必須。やや長めが有利か。プロフィールの記載はプラスに働いている可能性あり。
- ハッシュタグがつけられていると良い影響があるかも。
- 長さは最適とされる10~16分が良さそうだが、そこが必ずしも評価されるポイントとはいえなさそう。
- ある程度アップ日から経過して再生数が多い動画が有利そうだが、必ずしもこの条件が揃ってなくても良さそう。
検索エンジンが動画の中身を理解するということはできませんから、タイトル、説明文、タグといったテキスト情報で補っていくことは必須といえそうです。また「誰が語るか(プロフィール)」というのも、効果的といえるかもしれません。なお外部からは把握することができませんが、視聴時間によりその動画がユーザーにとって有用となっているかは、重要視されている可能性はあります。コンテンツ≒動画の質、とみなせるデータだからです。
Google検索のSEOほどまだ方法が確立されていませんので、テキスト情報に力を入れつつ、トライ&エラーでさまざまなテストを繰り返してみましょう。
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- 動画マーケティング