ここ数年、スマートフォンの普及やネット環境の充実によって消費者が動画コンテンツを視聴する機会が増えています。動画には文字だけでは伝えきれないことも伝えやすく、人の視線を引きつけやすいという特徴があります。動画は企業にとって、顧客接点を拡大し、自社の製品やサービスをPRするうえで欠かせないツールです。本記事では、動画制作を成功させるポイントを紹介します。
動画制作の課題は「手間」「品質」「コスト」 の3点に集約される
現在、企業が動画制作に抱える主な課題は、「制作の手間」・「一定の品質を確保することの難しさ」・「コストがかかること」の3点です。
コストの問題は、社内で制作を完結させればある程度は解決できます。実際、社内の様子や社員の姿を知ってもらうことを目的にしたカジュアルな動画や、公開先が限定されるイベント用の動画などは社員が制作を担うことも少なくありません。しかし、自社制作はコストを抑えられる一方、安っぽい印象になりやすく、手間がかかるデメリットもあります。
できるだけクオリティの高い動画を、手間をかけずに作るためには、外部の制作会社に依頼するのが一般的です。特に品質が重視されるデジタルサイネージ広告やテレビCM向けの動画制作の場合、制作を外注する企業がほとんどです。その反面、外部委託は手間を省ける分、コストの増加が懸念材料です。
動画マーケティングで成果を出すためには、単発ではなく継続していくことが重要です。そのためには、上記に挙げた「手間・品質・コスト」という三大課題をどのようにクリアしていくかがポイントと言えるでしょう。
法人企業が動画制作で成功するためのポイントとは?
ここでは、企業が動画制作を成功させる上で意識したいポイントを紹介します。
動画制作の手間に関するポイント
動画制作にかかる手間をできるだけ少なくするには、「自社に動画制作部門を設置する」、「優良な動画制作会社に依頼する」の2点がポイントです。
動画制作を手間だと感じる大きな理由としては、自社に動画制作を担当する部門が存在しないことが挙げられます。普段は動画制作と関係ない業務に当たっている社員が空いた時間で動画制作を手がけるとなれば、本人にとっても負担が大きくなり、時間もかかります。
この問題を解決するには、動画制作に詳しいスタッフを集めて専任チームを新設するとよいでしょう。制作会社との連絡窓口を一本化できるのでコミュニケーションがスムーズになり、効率的に動画制作を進められるようになります。
しかしながら、動画制作のノウハウを持った人材を社内で調達できるとは限らないのが実情です。その場合、動画制作会社に依頼することをおすすめします。自社制作に比べれば当然コストはかさむデメリットはありますが、自社の社員が本業に集中できるようになります。
映像制作のプロであれば、カメラや照明などの機材や編集ソフトも高性能なものを使用できるので、表現の幅が広がります。さらに、これまでに蓄積された経験や知識から企画や構成を提案してくれるため、よりターゲットに刺さりやすく、クオリティの高い動画が期待できるでしょう。
ただし、制作会社はそれぞれ得意分野があり、アニメーション動画に強い会社や実写を得意とする会社などさまざまです。制作を依頼する前に作りたい動画のイメージを固めておくと、理想像と完成物のミスマッチを防げるでしょう。
動画制作の品質に関するポイント
高いクオリティを確保するためには、動画制作の目的を明確にし、ターゲットとなる消費者のペルソナを具体的に設定しておくことが重要です。
「何のために制作するのか」という部分が曖昧なまま制作に着手してしまうと、完成した動画が的外れなものになりがちです。自社で制作するときはもちろんですが、外部の制作会社に依頼するのであれば、なおさらその動画を通じて実現したいゴールを明確にしておく必要があります。
企業が動画を制作する目的の代表例としては、商品やサービスの宣伝、ブランディング、企業の認知度向上、人材採用などが挙げられます。
また、一口に商品の宣伝といっても、その商品をすでに知っている人に買ってもらうのと、全く知らない人にまず興味を持ってもらうのとでは、訴求すべきメッセージや取るべき手法も変わってくるでしょう。
動画を届けたい消費者のペルソナを定義することも、動画マーケティングで欠かせないプロセスの一つです。ペルソナとは、性別や年齢層、居住地、興味・関心などを含めた、より詳細な消費者像のことを指します。
例えば10代の女性と50代の男性とでは興味や関心が大きく異なります。採用すべき動画のテイストもターゲットに合わせて変えていかなければなりません。
ターゲティングは、動画を拡散する媒体を選ぶ上でも重要な意味を持ちます。消費者が動画コンテンツを目にする場所は、SNS、YouTube、電車内のデジタルサイネージ、テレビCMなどさまざまですが、年齢層によって視聴率の高い媒体も異なります。
それらを考慮せずやみくもに動画を発信しても、見てもらいたい人に見てもらうことはできません。このような観点から、動画の目的やターゲットを設定することは、動画マーケティングにおける基本中の基本と言えます。
動画制作のコストに関するポイント
動画制作を外注する上で最大のネックといえば、コストではないでしょうか。動画制作は一般に、撮影や編集など工数が多いため、単価も高くなるという特徴があります。
比較的にまとまった予算を組みやすい大企業では、最先端技術を駆使したり、知名度の高い俳優やナレーターを手配したりもできるので、高クオリティの動画が作れます。
一方、中小企業の場合は捻出可能な予算に限りがあるケースがほとんどです。それでも、工夫次第で一定のクオリティを保った動画を作ることはできます。
基本的に動画制作にかかる費用は、作業にかかった時間と人数によって決まり、大きく分けて「企画構成費」、「映像制作費」、「動画編集費」の3つに分類されます。これらの費用は、映像の構成や台本を用意しておく、自社製品の宣材写真を活用する、撮影を短期間で終えるなどの工夫を図れば、ある程度までは削減可能です。
動画制作では、必ずしもテレビCMのようにハイクオリティな作り込みを必要とするわけではありません。あらかじめ制作会社に予算を伝えておけば、自社でまかなえない工程だけを外注するなど、費用を予算内に納める方法を提案してもらえるでしょう。
ここからは、動画の種類ごとに、制作費の相場は以下の価格表をご確認ください。
https://www.humancentrix.com/columns/009
これらはあくまでも一般的な相場です。依頼する作業や俳優・ナレーションを起用するかどうかによっても変化します。
また、制作会社に依頼する際には提示された見積もりの内容をしっかり確認しておくことが重要です。制作会社によっては修正回数に制限があったり、シナリオ作成やナレーションの追加に別料金を設定していたりする場合もあります。制作に入ってから認識の食い違いがあると、最終的に予算をオーバーしてしまうこともあるので注意しましょう。
BtoB企業の動画制作の成功事例5選
ここからはBtoB企業の動画制作を強みとする制作会社・ヒューマンセントリックスの制作実績を紹介します。
予算
ヒューマンセントリックスでは、作業内容によって3つの料金体系を採用しています。
最もリーズナブルなプラン「ベーシック」(18万〜30万円)では、撮影、スタジオ利用、編集、フリー素材に対応。より訴求力のある動画を作れる「プロフェッショナル」(50万〜100万円)では、さらにナレーターの手配やシナリオ作成、イラスト・アニメーション、CGにも対応します。
最新技術を使ってテレビCMレベルの動画が作れる「エンタープライズ」(120万〜350万円)では、企画・構成の段階から制作を引き受け、監督や役者も手配。3DCGを使った動画も対応可能です。
日立ハイテクノロジーズ
予算:18万〜30万円
日立ハイテクノロジーズからの依頼を受け、展示会やイベント、自社ホームページで使用するインタビュー映像を制作。
使用した映像は持ち込みで、そこに動画タイトルや質問のテロップ、コメントの字幕などを追加し、音声や色調を調整することで、より現場の雰囲気や社員たちの熱量が伝わるようブラッシュアップしています。
ブレインハーツ
予算:18万〜30万円
ブレインハーツの売上管理クラウドサービス「ウランバ!!」を紹介するこちらのプロモーション動画では、現在進行形で手書きのイラストが展開されていく個性的な表現方法を採用。家族を題材に温かみのあるナレーションを組み込むことで、ITソリューションというビジネス要素の強い製品でも親しみやすく伝えるよう工夫しています。
KDDI
予算:18万〜30万円
KDDIが提供しているMicrosoft社のクラウドサービス「Office365」の操作方法を説明するWeb掲載用のデモ動画です。ワンタッチですぐにWeb会議ができるアプリ「Lync」の使い方を、テロップやアプリの表示画面、実写映像を用いてわかりやすく解説しています。
エストラボ
予算:50万〜100万円
業界用の美容機や化粧品を扱うエストラボのWeb掲載用動画です。同社の脱毛機を導入した美容院へのインタビュー形式を採用。実際に使用してみての感想をクライアントに直接語ってもらうことで、製品のメリットを客観的に伝えます。
山形県高畠町
予算:50万〜100万円
山形県の高畠町で実施されたイベント「グル麺ライド」を紹介する動画コンテンツです。実写動画にBGMと効果音を加え、映画の公開予告のような短尺映像に編集。イベントのFacebookや高畠町が運営するYouTube、Webサイトで公開されています。
まとめ
動画によるプロモーションを成功させるためには、自社制作か外注かにかかわらず、事前に目的やターゲットを明確化しておくことが何より重要です。コストの安さを優先させる場合は自社で制作する手段もありますが、できるだけ手間をかけずに高品質な動画を制作したい場合は制作会社に依頼することをおすすめします。
かけられる予算が少ない中小企業などでも、構成や素材の用意を自社でまかなえばコストを抑えることが可能です。また、制作会社によって得意分野が異なるので、作りたい動画のジャンルに応じて実績が豊富な会社に依頼するとよいでしょう。
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