動画を閲覧する場合には、あまり意識しない動画形式ではありますが、実際の動画を作成する企業などではその形式によって得意不得意があったり、掲載する場所によって適した形式があるため、その形式を理解しておくことが重要です。本稿では、動画コンテンツにおけるファイル形式について分かりやすく解説していきます。
コーデックとコンテナの関係
まずは、動画形式を説明する前の前提条件として「コーデック」と「コンテナ」の関係を知っていきましょう。
コーデックというのは、撮影した動画ファイルを圧縮するための技術です。そして、コーデックによって圧縮された動画ファイルは拡張子のついたコンテナ(AVIやMP4など)に格納されます。つまり、動画のファイル形式はこのコーデックとコンテナによって分類されることになります。
動画の主なファイル形式の種類
動画に使われるファイル形式は1つではありません。一般的に使われるものだけでも10以上の種類があります。なぜ、ファイル形式をそこまで分ける必要があるのか?それはコーデックによって動画ファイルを圧縮する際の特徴が異なり、かつ再生するためのソフトウェアによって対応しているファイル形式が異なるためです。
例えば言うなれば、Excelで作成したファイルをPowerPointで閲覧できないように、特定のコーデックで圧縮した動画ファイルは、特定のソフトウェアなどでしか再生できないようになっています。また、多様なファイル形式に対応している場合でも、ファイル形式によって圧縮後のサイズが異なるため、常に適切なファイル形式を選択しなければいけないのです。
それでは、動画の主なファイル形式の種類と、それぞれの特徴を解説します。
1. AVI(.avi)
マイクロソフトが開発したWindows標準の動画ファイル形式です。汎用性が高いのが特徴であり、さまざまなコーデックで圧縮された映像と音声を格納できます。しかし、それ故に「同じコンテナなのに再生できない動画コンテンツ」があるなどの問題が発生する場合もあります。その際は、圧縮時に利用されたコーデックをインストールすることで解決します。
また、汎用性が高い反面ストリーミング再生に対応していない、VFRに対応していない、Bフレームが表示できないなど他のコンテナに比べると機能面に劣っている部分が多くあります。汎用性と知名度の高さから、今でもよく使われているコンテナです。
2. MOV(.mov)
アップルが開発したMacの標準の動画ファイル形式です。AVI同様に汎用性が高く、多様なコーデックに対応していることで同様の問題もあります。動画コンテンツの画質や圧縮率は使用したコーデックに依存し、最近ではMOVを使った動画も増えています。Windowsでこれを再生したい場合、「QuickTime Player」がインストールされていれば再生可能です。
3. WMV(.wmv)
動画コンテンツのストリーミング配信を前提にマイクロソフトが開発した動画ファイル形式です。DRM(Digital Rights Management:デジタル著作権管理)と呼ばれるコピーガード機能が備わっており、動画配信サービスで広く利用されています。MPEG-4がベースなので圧縮率に優れているのが特徴です。
4. FLV(.flv)
アドビシステムズが開発した動画ファイル形式です。パソコンにコーデックがインストールされていなくても、Adobe Flash Playerがインストールされていれば、同アプリがサポートしているすべての動画コンテンツを再生できます。Adobe Flash Playerが標準搭載されているパソコンが多いため、昔の動画共有サービスの多くはFLASHと呼ばれるWeb上の動画再生機能が付いたWebの仕組みを取り入れていました。しかし現在では、FLASHが無くてもブラウザの標準機能として動画コンテンツを再生できるため、多くのWebサイトがFLASHからHTML5に移行しています。
5. MPEG1(.mpg)
ビデオCDなどに利用されることが多い動画ファイル形式です。再生時の負荷が低く互換性も高いため、パソコンの種類を選ばずに再生できます。しかし、画質はVHS並みであり、ファイルサイズは大きめになります。
6. MPEG2(.mpg)
この動画ファイル形式は、「MPEG2-PS」と「MPEG2-TS」という2種類のものがあります。
<MPEG2-PS>
主にDVDに使用される動画ファイル系s機です。DVDに格納されている動画ファイルの拡張子は「.vod」となっていますが、実際はMPEG2-PS(.mpg)です。そのため、「.vod」で再生できない場合は「.mpg」に書き換えるとそのまま再生できることが多いです。
<MPEG2-TS>
ブルーレイや地上波方法に使われる動画ファイル形式です。世界中の地上波放送のコンテナとして使われており、この他「AVCHD」や「AVCREC」、ハイビジョンカメラ専用のアプリケーションフォーマットにも採用されています。
7. MPEG4(.mp4)
高画質かつ圧縮率が高いことから、広く普及している動画ファイル形式です。WindowsかMacかを問わず標準でサポートされているので、再生方法に迷わないというのがメリットです。さまざまなOSブラウザ、スマートフォン、家電機器に対応している動画ファイル形式なので、動画ファイルをエンコードする際はMP4を選択すればまず間違いありません。
8. MKV(.mkv)
日本ではWindows標準の動画ファイル形式と言えばAVIですが、海外ではMKVが主流になっています。正式名称を「Matroska(マトリョーシュカ)」と呼び、名称通り多様なコーデックに対応しているのが特徴です。字幕表示のオンオフ、多重字幕、多重音声、ファイルが欠けていても再生できるなど多彩な機能を持っています。Windows 10より標準搭載されたことで、数あるファイル形式の中で有力候補に挙がります。
動画ファイル形式と対応コーデック早見表
最後に、本稿でご紹介した動画ファイル形式を含む12個の動画ファイル形式と、それに対応しているコーデックの早見表を作成しましたので、動画コンテンツ制作時の参考にしていただければと思います。
ファイル形式 (コンテナ) |
拡張子 (ファイルフォーマット) |
対応している圧縮技術 (コーデック) |
AVI | .avi | H.264・Xvid・Divx・MPEG-4 |
MOV | .mov .qt | H.264・MJEG・MPEG-4 |
WMV | .wmv(.asf) | WMV9 |
FLV | .flv | VP6・H.263・H.264 (バージョンごとに異なる) |
MPEG2-TS | .m2ts .ts | H.264・MPEG-2 |
MPEG2-PS | .mpeg .mpg | MPEG-2・MPEG-1・MPEG-4 |
MPEG4 | .mp4 .m4a | H.264・Xvid・Divx・MPEG-4 |
MKV | .mkv | H.264・Xvid・Divx・MPEG-4 |
ASF | .asf(.wmv) | H.264・Xvid・Divx・MPEG-4 |
VOB | .wmv | MPEG-2・MPEG-1 |
WebM | .webm | VP9・VP8 |
OGM | .ogm | Xvid・Divx |
このように、動画コンテンツを制作する際は再生対象とするソフトウェアやアプリケーションを考慮しながら、それに最適なコンテナとコーデックを選択しましょう。
- トピック:
- 動画制作全般
- 関連キーワード:
- 動画制作
この記事に関するサービスのご紹介
HowTo・マニュアル動画制作
マニュアル動画やHowTo動画は、特にスキルの均一化や伝承において微妙なニュアンスまでも伝えることができる点で大きなメリットがあります。HowToやマニュアル動画制作サービスを活用してテキストでは伝えきれない情報を伝承してください。
詳細はこちら