「井の中の蛙大海を知らず、されど空の蒼さを知る」。この言葉は、紀元前369年から紀元前286年頃に存在した中国の思想家「荘子(そうし)」の「井蛙不可以語於海者、拘於虚也(井戸の中の蛙と海にてついて語れないのは、虚のことしか知らないためだ)」を由来としており、後半部分は後に日本で付け足されたものとされています。
その意味するところは、「狭い世界で生きている者は広い世界のことを知らない。しかし、狭い世界に生きているからこそ細かいところまで目を向けることができる。」というポジティブなものです。この言葉、日本の製造業、特に中小企業にピタリと当てはまる言葉ではないでしょうか?
日本の製造系中小企業の多くは「下請け」という狭い世界で生きているがために、自社の技術について過小評価してしまっている傾向があります。今こそ、製造業において動画コンテンツ活用の幅を広げ、日本全土はもちろん世界に向けて日本の製造業の技術を披露し、物づくり大国としての威厳を回復する時かもしれません。
そこで本記事では、製造業における動画活用シーンと動画制作を実施するメリットについてご紹介します。
どんなところで活用できる?製造業の動画コンテンツ
日本の製造業では動画コンテンツなどウェブを活用したビジネスやマーケティングに消極的な経営者も少なくありません。理由は3通りほどあるでしょう。1つ目は、そもそも口コミによる引き合いが多いためウェブで宣伝する必要がない。2つ目は、昔から贔屓にしている取引先と今後も継続して安定した関係を築きたいため、それ以外の引き合いを求めていない。そして3つ目は、そもそもウェブ活用などどうやればいいか分からない、という理由です。
前2つの理由については今後の経済次第で状況が一転し、ウェブを活用しない理由が残る1つに絞られる可能性は大いにあります。何しろ現在はコロナ禍の真っ只中ですから、取引先から受注数が激減したり、最悪受注そのものが中止されたりするケースは少なくないのです。
窮地を脱するためにウェブ活用を目指す製造業もあります。実際にそれによって救われたという企業もあります。では、ウェブ活用並びに動画コンテンツはどのようなところで活用できるものなのでしょうか?
まず代表的なのが「自社技術の宣伝」です。動画コンテンツと聞くと途端に難しく感じられるものですが、実際は自社の製造現場や職人の仕事姿を写すだけでも立派な動画コンテンツになります。現代ではWebサイトはもちろんのこと、YouTubeやFacebookなど動画コンテンツを配信するプラットフォームが多種多様に存在しているので、配信にも困りません。
実際の事例として、仕事現場を撮影した動画コンテンツをYouTube等で配信しただけで非常に大きな反響を呼ぶケースは多々あります。これはつまり、自社にとっては「当たり前」と考えてきた技術も一度外の世界に出れば、称賛されるほど素晴らしい技術であることが珍しくないためです。そういう意味でも、日本の製造業は「井の中の蛙ーー」状態になっていると言えるでしょう。
他にも営業ツールとして動画コンテンツを使用したり、製品カタログの一環で動画制作に取り組む製造業もあります。物づくりに対する熱意や自社独自の取り組みを社会的にアピールするために活用するのも良いでしょう。英語訳を作成して配信すれば、海外からの引き合いが獲得できる可能性も存分に広がります。言葉や画像だけでは説明しにくい製造業の世界において、動画コンテンツは非常に強力な武器だと言えます。
製造業で動画コンテンツを活用するメリット
それでは、製造業で動画コンテンツを活用するとどんなメリットがあるのかを具体的にご紹介します。
メリット1. 数十万円で数千万円の宣伝効果を獲得できる可能性がある
日本は世界的なものづくり大国でです。創業100年以上を経過した企業を国別に調査したところ、トップは半数近い41.3%を占めた日本であり、その中で製造業は26.0%と最も多い数値になっています。さらに、売上高10億円以下で見ると日本が80.7%と最も多く、日本は世界に類を見ない中小企業大国でもあります。
製造業界のトップたる大企業の多くは、数々の中小企業によってそのビジネスが支えられています。日本の中小企業には世界があっと驚くような技術が星の数ほど存在しており、そんな技術を動画コンテンツとして配信するだけで数千万円、時には数億円規模の宣伝効果をたった数十万円の費用で獲得できる可能性を秘めているのです。
メリット2. 思うように成果が上がらなかった営業で効果を発揮する
口コミによる引き合いは多いのに、営業経由で新規顧客開拓が思うように進まないという製造業には共通した原因があります。営業力が弱いのではありません、自社製品について明快に説明するだけの材料が揃っていないのです。だからこそ、自社製品を実際に使用している顧客の口コミからでしか引き合いが獲得できません。
動画コンテンツは言葉や文字ではなかなか説明しづらい製品概要についても、コンセプト動画などを用いることで明快に説明できます。つまり、相手方に「自社製品を使用したら何ができるか?どんな問題が解決されるか?」などを具体的にイメージさせることができ、契約獲得に貢献します。
メリット3. 企業のストーリーや熱意を伝えることでファン層が厚くなる
単に技術や製品について発信するだけでなく、会社の起こりや仕事に対する熱意、これまでのストーリーなど伝えてみるのも良いでしょう。それに感銘した人がファン層に加わることで、収益拡大に直接的な影響はないにしろ社会的なブランド価値の向上が見込めます。
メリット4. 自社ホームページに掲載してコンテンツの充足が図れる
一度作成した動画コンテンツは、その内容が廃れない限り未来永劫活用できるコンテンツとして自社ホームページに掲載できます。そうしてコンテンツの充足を図ることで自社ホームページのドメインが強くなり、検索エンジンの検索結果でも上位表示されやすくなるため、ネット経由での引き合いも視野に入れることが可能です。
メリット5. 動画コンテンツをきっかけにインバウンドマーケティングに取り組める
インバウンドマーケティングとは主に企業ブログ等を通じて引き合いを獲得するマーケティング手法です。ただし、効果を引き出すのには中長期的な目線での運用が必要であり、資金力が限られている中小企業では敬遠されがちです。一方で動画コンテンツの制作に取り組み、自社ホームページのコンテンツを順調に充足していけばそこからインバウンドマーケティングへ移行することが容易になります。つまりは、新しいマーケティング手法を取り入れるための玄関口として動画コンテンツが活躍するわけです。
いかがでしょうか?
製造業では動画コンテンツを活用することで様々な期待ができます。必要なのは実際に「やってみよう」と思う気構えを、何を動画コンテンツにしてどう発信するかのアイディアのみです。動画の制作云々や活用アイディアは制作会社と共に考えることもできるので、事実上必要なのは熱意のみということになります。動画コンテンツ活用に興味がある場合は、ぜひ制作会社の門を叩いてみてください。その際には弊社ヒューマンセントリックス にお声がけいただければ嬉しいです。
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