街を歩くといたるところで「デジタルサイネージ(電子標識)」を見かけるようになりました。大型のものから小型ものまで、多種多様なデジタルサイネージが設置されていますし、ものによって映像の解像度なども違います。
一時期に比べて紙媒体の広告などを見る機会が少なくなりましたし、デジタルサイネージの市場はすでに2,000億円規模に到達しようというところです。なぜここまでデジタルサイネージが普及したのか?本稿ではその仕組みやメリットをご紹介します。
デジタルサイネージとは?
デジタルサイネージは電子表示によって情報発信する標識(看板)のことであり、従来の紙媒体の街頭広告や店頭チラシに代わって活躍するメディアとして注目されています。「電子看板」ということなら、数十年前からよく利用されているものの1つです。例えば個人商店などにおいても、電子表示で文字が移る看板を見かけることができます。
ただし、現代のデジタルサイネージがそれらの電子看板と異なる点は、高い解像度によって紙媒体と同じもしくはそれ以上の情報力を持つことと、さまざまな種類を使い分けられるという点です。では、種類ごとの特徴について説明します。
スタンドアロン型
最も多く設置されているこのタイプのデジタルサイネージは、単独で機能し、USBメモリ等を差し込むことで内部のコンテンツ(画像や動画)を映し出すことができます。解像度にもよりますが、安価に入手できることから個人店でも利用されることが多く、複雑な操作を必要としないため初心者も導入しやすいタイプです。
ただし、一部においてはUSBメモリ等に保存されたコンテンツを転送するのに時間がかかることから、更新頻度の高いコンテンツを表示する場合には向きません。
ネットワーク型
ネットワークに接続され、USBメモリ等を差し込むのではなく回線を通じてコンテンツを表示するタイプをネットワーク型と呼びます。主に公共交通機関の時刻、役所や病院の案内、大型の街頭広告などに採用されています。ネットワーク越しに表示するコンテンツを操作することで素早く更新できるため、リアルタイムに情報を発信したい場合に適しています。
利用するにあたり、ネットワークの構築やコントロール用の端末、システム保守などの費用がかかるのでスタンドアロン型よりも高額になるのがネックです。
インタラクティブ型
ネットワーク型の機能性に加えて、外部からのアクションに反応して動作するタイプがインタラクティブ型です。主にタッチパネル操作によって画面が変わり、商品や場所の検索等に使われます。最近では大型のショッピングモールによく設置されており、目当ての店舗を探す、セール情報をチェックするなどの用途で使われています。
ものによってはセンサーで人が通過するか、何らかのアクションを起こした際に特定のコンテンツを表示することができ、活用方法が広がっています。
デジタルサイネージのメリット
1. 「動く広告」で人の目に留まりやすい
人は動物的な習性から、「動くものに目が留まりやすい」傾向があります。たとえば紙媒体の広告と、デジタルサイネージで流す動画広告が隣接している場合、動画の方に目が留まりやすくなります。さらに、昨今のデジタルサイネージは高解像度のため視認性が高いですし、音声を流せるものもあります。
このため、マーケティング活動の一環としてデジタルサイネージを活用できますし、より効率的に情報を発信できるメリットがあります。
2. 一カ所で複数のコンテンツを表示できる
複数のコンテンツを紙媒体の広告で表示したい場合、その分のスペースが必要です。あまり多くの広告が掲載されていると、店舗の場合は外観を損ねますし、広告効果が薄れる可能性もあるでしょう。
一方、デジタルサイネージはそれ1つで複数のコンテンツを入れ替わりに表示できるため、広告の省スペースになって外観を損ねませんし、発信したい情報をダイレクトに届けられます。
3. 届けたい情報や場所に応じてコンテンツを変えられる
店舗において、1つのキャンペーンが終了すれば別のキャンペーンを開始するか、通常の広告表示に切り替える必要があります。その際に、紙媒体の広告では新しく印刷し貼りかえる必要がありますが、デジタルサイネージでは表示するコンテンツを切り替えるだけで簡単に済みます。要するに、制作から掲載までの時間が短縮できるためコスト削減に加えてタイムリーな展開が可能になります。さらに、デジタルサイネージを置く場所によって表示するコンテンツを変えることで、広告効果を最大化できる可能性も秘めています。
4. ユーザーに合った情報を届けられる
ユーザーは常に自分に合った情報を求めています。インタラクティブ型のデジタルサイネージの場合、タッチ操作によってユーザーは自分が求める情報を取得できることから、顧客体験の質を高めることに繋がり、ユーザー満足度が向上します。
さらに活用方法を高度化させると、センサーによってユーザーの属性情報を取得し、それに応じたコンテンツを表示することで、マーケティング効果をより高めることに繋がります。
5. リアルタイムな情報を発信できる
ネットワーク型のデジタルサイネージでは、その時々に変化する状態に合わせコンテンツを表示できるメリットがあります。リアルタイムな情報を発信し、ユーザーに有益な情報を常に発信することで、迅速なキャンペーンの展開や高いブランディング効果が期待できます。
デジタルサイネージにデメリットはあるのか?
残念ながら、メリットだけでなくデメリットもあるのは確かです。ただし、大切なのはデメリットも知った上で、最適な施策を練ることにあります。ここでデジタルサイネージのボトルネックについて知っておきましょう。
初期投資とランニングコストがかかる
紙媒体の広告を作る場合、クリエイティブにかかる費用と印刷にかかる費用がトータルコストになり、それ以外はほとんど費用がかかりません。一方、デジタルサイネージではディスプレイを購入する費用や設置環境を整える費用、さらには継続的に保守運用するための費用などがかかるため、初期投資が発生します。
そこで、トータルコストを試算した上で、紙媒体の広告と費用対効果を比較した上で導入可否を検討するのがよいでしょう。さらに、活用のアイディアによってデジタルサイネージの費用対効果を大いに上げることができるので、導入前から「どうやって活用しようか?」と豊富なアイディアを持っておくことも大切です。
デジタルサイネージが故障する可能性がある
昨今では毎年大型台風が上陸・接近することから、デジタルサイネージなど街頭に設置している広告媒体が故障するケースが増えています。それだけでなく、人がぶつかったり水がかかったりすることで故障する可能性もあるので、最新の注意が必要です。紙媒体の広告ならば新しく印刷するだけなので安く対応できますが、ディスプレイが故障すればかなりの損失になります。
デジタルサイネージを検討してみよう!
近年では、クリエイティブ性の高い映像をデジタルサイネージで流し、ブランディング効果を高める活用方法が増えています。活用方法も広がっているので、この機会にデジタルサイネージの活用を検討してみてはいかがでしょうか?
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